アグリな日々

いつものことをアグリ系弁理士の視点で語るブログです。

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iPS細胞と特許

アグリ系弁理士の吉永貴大です。

「山中伸弥氏がノーベル生理学・医学賞を受賞」

というニュースを見ました。

大変喜ばしいことです。

iPS細胞の研究が進んで再生医療の道が開かれることが大いに期待されるところですが、

現在の特許法では再生医療などの治療方法は特許要件の一つである

「産業上利用することができる発明であること」

に該当しないということで、特許の対象にはなりません。

治療方法、手術方法、診断方法は、人道上、広く開放する必要があるというのがその理由です。

では、iPS細胞に関しては特許出願は全くされていないのかというと、そうではありません。

山中教授を発明者とする特許出願を特許電子図書館で検索したところ、32件の特許出願がヒットしました。

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(公開番号/公表番号)(発明の名称)
1 特開2011-188860  誘導多能性幹細胞
2 特開2011-182720  生殖系幹細胞の分化誘導および増幅方法、並びにそのための培地
3 特開2010-273680  初期化因子が除去された人工多能性幹細胞の作製方法
4 特開2010-158171  効率的な核初期化方法
5 特開2009-215191  神経損傷治療剤及び神経損傷治療方法
6 特開2009-165481  誘導多能性幹細胞からの体細胞の製造方法
7 特開2009-165480  誘導多能性幹細胞およびその製造方法
8 特開2009-165479  誘導多能性幹細胞を製造するための核初期化因子の使用
9 特開2009-165478  誘導多能性幹細胞の製造方法
10 特開2009-000108 ES細胞特異的発現遺伝子
11 特開2008-283972 誘導多能性幹細胞の製造方法
12 特開2008-193897 多能性幹細胞増殖促進剤
13 特開2005-110565 分化多能性維持剤
14 特開2004-154135 ノックアウト非ヒト動物
15 特開2003-265166 ECAT5ノックアウト細胞
16 特表2012-518988 新規核初期化物質
17 特表2012-507258 人工多能性幹細胞の作製方法
18 特表2011-530273 分化細胞由来多能性幹細胞由来の二次ニューロスフェアの選択方法、その選択方法によって選択されたクローン、及びそのクローンの使用方法
19 特表2011-529330 効率的な人工多能性幹細胞の樹立方法
20 特表2011-529329 効率的な人工多能性幹細胞の樹立方法
21 特表2011-525793 効率的な人工多能性幹細胞の樹立方法
22 特表2011-519546 核初期化方法
23 再表2010/038904 外来性核初期化因子またはそれをコードするDNAを含まない人工多能性幹細胞およびその作製方法
24 再表2009/122747 iPS細胞からの血小板の調製方法
25 再表2009/075119 効率的な核初期化方法
26 再表2009/057831 核初期化方法
27 再表2007/069666 核初期化因子
28 再表2006/035741 ES細胞特異的発現遺伝子及びその利用
29 再表2005/080598 体細胞核初期化物質のスクリーニング方法
30 再表2005/035562 新規な細胞増殖促進剤
31 再表2004/067744 胚性幹細胞の自己複製決定因子
32 再表02/097090  ES細胞特異的発現遺伝子

※「特開」とは、わが国で特許出願された出願のうち、出願日から1年6ヵ月経過後に、特許庁が「公開特許公報」として発行したものです。

※「特表」とは、特許協力条約(PCT)に基づき外国語(英語等)で出願された国際出願うち、日本を指定国とし、日本語で翻訳されたものを特許庁が「公表特許公報」として発行したものです。つまり、外国語でPCT出願された出願が日本に移行して来た場合に特許庁が「公表特許公報」として公開するものです。

※「再表」とは、特許協力条約(PCT)に基づき国際公開された日本語特許出願を「再公表特許」として特許庁が発行したものです。つまり、日本語でPCT出願された出願についてすでに国際公開されたものを、今度は特許庁が再び公開するものです。

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これは山中教授が発明者として名を連ねている特許出願をすべて検索したもので、iPS細胞関連発明のみをピックアップしたというわけではないのですが、発明の名称を見ると、主に細胞培養技術に関して特許出願がされていることがわかります。

2010年にノーベル化学賞を受賞した根岸栄一氏と鈴木章氏について、特許を取得しなかったことが技術の普及につながりノーベル賞受賞の一因となった、という新聞記事がありました。

その記事を読んだかどうかわかりませんが、その後特許庁が

「日本人ノーベル賞受賞者(自然科学分野)の特許出願件数」

というデータを発表しました(現在は削除)。

これは、特許庁としては必ずしも特許が技術の普及の妨げにはならないし、ノーベル賞受賞の妨げにはならないよ、というアピールをしたかったのでは?と思います。

山中教授もテレビのインタビューで、

「特許を取得する意義は、独占するためではなく、(他人に)独占させないためである」

とはっきりおっしゃっておられましたね。

特許を取得する目的が、必ずしも技術の独占にあるとは限らないということです。

知的「財産」権というくらいですから、財産として売買したり、第三者にライセンスをするということができます。

この特許権の財産的活用は、「みんなに技術を使ってもらう」という視点で行われるものです。

iPS細胞関連の知的財産を管理するiPS細胞研究所(CiRA =サイラ)は、学術研究には無償で使用を許諾し、商業目的の研究開発にも安い特許料で使用を認めているそうです。

特許権であれば、自社の技術を守りつつ、かつ、利益を得つつ、技術を普及させるということが可能なのです。
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  1. 2012/10/09(火) 11:49:53|
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